| 1.ひょっとして? | 2.どうすれば? |3.もしかかったら|4.おまけ| |
普通の風邪は ライノウィルスやコロナウィルスによっておこる病気でのどの痛み、はなみず、くしゃみ、せきで発熱もインフルエンザほど高くなく全身症状はあまり強くありません。インフルエンザはインフルエンザウィルスによっておこる病気で急な発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛などではじまり 全身倦怠など全身症状が強くせき、のどの痛みなどはあとからでてくるのが特徴です。日本では11月から4月ぐらいまでがインフルエンザの流行期で潜伏期は平均3日(1−5日)とされています。大多数のひとは1週間くらいで治癒することが多いのですが 乳幼児、高齢者、糖尿病や腎不全などの基礎疾患があって抵抗力が低下しているひとは気管支炎、肺炎や まれに心筋炎、脳症などの合併症がおこって時に致命的になることがあります。 |
■予防の基本は、流行前のワクチン接種。 | |||
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■外出をできるだけさけて、マスクを着用しましょう。 | |||
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■手洗い、うがいが大切。 | |||
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インフルエンザは最近ではベッドサイドで咽頭ぬぐい液、鼻腔吸引液などから迅速診断キットをもちいたすみやかな診断が可能となっています。
インフルエンザも早期診断、早期治療が原則です。 インフルエンザの治療薬に内服でシンメトリル(硫酸アマンタジン)、タミフル(リン酸オセルタミビル)、吸入薬にリレンザ(ザナミビル)があります。インフルエンザウィルスにはA型とB型がありますが シンメトリルはこのうちA型にしか効きませんし耐性のことが多いようです。 |
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■透析患者様の治療 タミフルとリレンザはA,B両方に効果があります。タミフルは腎機能が正常な成人の場合発症48時間以内から1日2回1回1錠を5日間服用することが原則ですが透析患者様の場合は2−3日ごとに1錠計1−2回で効果があるとされています。タミフルは吸収されやすく血液透析でぬけても血中濃度は十分上がりますので透析前に内服しても有効と思われます。近年未成年患者でタミフル内服後異常行動による死亡例がみられると報道されていますがリレンザでも異常行動がみられることがあり、またインフルエンザでも脳症がおこりますので異常行動が薬の副作用か病気の合併症かは不明です。 リレンザは通常1日2回専用の吸入器をもちいて5日間吸入しますが透析患者様の場合は適切な投与量はまだ確立されていないようです。タミフル、リレンザとも予防投与が可能ですが耐性ウィルスが出現しやすいとの危惧があります。 これら以外に漢方薬で麻黄湯がインフルエンザ初期に効果があることが知られています。しかし主成分の麻黄(エフェドラ)は中枢神経興奮作用があり、精神症状や不整脈、心不全などをおこすことがあります。透析患者様での有用性、安全性はまだ確立されていません。 |
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世界的流行および非常に多くの感染者や患者が発生することをパンデミックといいます。インフルエンザの世界的流行つまりインフルエンザパンデミックは20世紀中に少なくとも3回ありいずれもA型です。一回目は1918−1919年のスペイン風邪とよばれ 患者数は世界人口の25−30%、死亡者は4000万―1億人と推定されています。わが国でも2300万人が感染し38万人が死亡したそうです。2回目は1957−1958年のアジア風邪で、当時はワクチンが限られていて 集会の禁止、学校閉鎖が伝播防止の唯一の手段でした。3回目は1968−1969年の香港風邪で アジア風邪より軽症で 致死率も低かったようです。1977年からソ連風邪が流行していますが、これはスペイン風邪と同じウイルスです。数年前から鳥のインフルエンザが流行していて感染拡大防止に全力があげられています。2008年9月現在鳥インフルエンザがひとに感染した例は インドネシア、ベトナム、エジプト、中国など世界で387例でこのうち245例が死亡しています。いまのところひとからひとへ感染した例はないようですが いずれ型がかわった鳥インフルエンザが世界的流行をおこすと予想され 現在対策がたてられています。 |
<取材協力> | ||||||||
【プロフィール】
梅田優(うめだ まさる) 西淀病院 血液浄化室勤務 |
昭和57年:大阪市立大学 医学部卒、医学博士 日本透析医学会専門医、指導医 日本腎臓学会専門医、指導医 日本泌尿器科学会専門医、指導医 現在西淀病院血液浄化室勤務 |
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イラスト:仲松美由紀 臨床工学技士 西淀病院血液浄化室勤務 |