透析生活の心得「リン」に要注意!食生活指南ごきげんいかが?ほほえみさんこんにちわ!

どんな病気も辛いものではありますが、ご自身やご家族に透析が必要だと言われて、落胆したり、悲観したりしなかったという方は、少ないでしょう。けれど、慢性腎不全の治療に透析療法が導入されてから約40年の間、透析技術はかなり進歩しました。


「むしろ、食事に気をつける必要に迫られているからこそ、健康維持に配慮できる」という考え方もあります。気をつけるべきことも明解ですし、自己管理に慣れさえすれば、人生を楽しむことは十分可能です。あれもできない、これもできない、と考えてしまうのではなく、あれも、これもできると数えて見る。そんな発想を持ってみませんか。

透析医療は目覚しく進化しています

最近では、夜間透析が受けられる施設も増え、透析を受けながら、健康な人と同じように仕事や学業ができるようになってきました。また、CAPDのような携帯型の人工透析を装置の利用や医療機関同士の連携によって、行動範囲も広がり、国内はもとより海外旅行を楽しむことさえ可能です。装置の研究は盛んに続けられており、より効果の高いシステムの開発も期待できます。


「リン」に要注意



透析専門医坂井留美先生に聞く



高リン血症に気をつけよう

もちろん、透析技術が進化したとはいえ、腎臓の機能すべてを透析が代用してくれるわけではありません。長期の透析中には、合併症を起こす可能性もあり、日常の自己管理は欠かせません。 特に大切なのがリンの摂取量をコントロールすることです。腎臓機能が正常なら、体内のリンを尿から対外へ排出し、血液中のリン濃度を一定に保てますが、透析者は、リンを尿中に排泄できないので、血液中にリンがたまりやすくなります。この状態が長く続く高リン血症になり、血管のカルシウム沈着、骨や関節の痛み、筋力低下、皮膚のかゆみなど、さまざまな症状が起きてきます。

「二次性副甲状腺機能亢進症」にならないために

透析者は、ビタミンDが活性化されないため、食事からカルシウムを吸収しにくくなります。そのため、血液中にリンが多く、カルシウムは少ない状態になり、血中のカルシウムを上げようとする副甲状腺ホルムンが大量に分泌され、骨からカルシウムを引き出す働きをします。その結果、骨のカルシウム量が減り、骨がもろくなります。この状態が進むと「二次性副甲状腺機能亢進症」という病気になってしまいます。

日常の自己管理で防ぎましょう

これを防ぐためには、食事から摂るリンの量を、一日に700mgまでに抑えるように注意してください。特に、たんぱく質を多く含む食品は、リンが多く含まれていますので、たんぱく質の過剰摂取には、気をつけましょう。また、たんぱく質を多く含む食品でも、例えば牛乳より低リンミルク、卵黄より卵白、鶏のキモより鶏のモモ肉にすると、摂取量を抑えられます。毎日食べるお米は、低リン米にするのもお勧めです。 また、卵や牛乳を使ったお菓子やチョコレート菓子は、リンが多く含まれていますし、ハム、カマボコなどの練り製品にもリンが多く含まれています。 その他、細かい内容については、栄養士さんとよく相談してみてください。ちなみに、血清リン(P、mg/dl)の数値は、透析前6以下、透析後4以下を目安にして、カルシウム×リン積が55以下になるように心がけてください。

ほかにも、こんな心がけを

カリウムや水分の取りすぎにも注意が必要です。次のようなことに心がけてください。

  • 正常なカリウム値を知っておく(3.5〜5.5meq/l)
  • 日常食べる食品の中でどれが高カリウム食品かを知っておき、制限する。
  • 高カリウム症状を覚えておく。(口唇手足のしびれ、手足の力の抜けた感じ、無意識にしたや口の中を噛む、下痢、冷汗等の症状)
  • 一日のカリウム摂取量は、1500mg〜1800mg以下を目安に制限する。
  • 水分は、お茶は熱いものを、食後にゆっくり飲んで充実感を得るなどで摂取を控える。
  • 塩分を摂ると体が水を要求しますので、要注意。一日7g〜8gに抑えてください。





本来、食事とは楽しみ、味わいながら頂くことで、心を豊かにするもの。その内容が制限されると、どうしてもマイナスイメージが強く、ストレスを感じてしまうことがありますね。
けれど、素材の調理法を考え、ひとつの工夫をあれこれ応用していけば、精神的な苦痛は和らぐものです。特別に透析食を作るのではなく、ご家族と同じメニューのアレンジから始めてみるのもよいでしょうし、個々の食品を細かく見るよりも、1週間のトータルで考えてみると、気分的にラクではないでしょうか。



注意したいのは、エネルギーを確保すること、リン・カリウムをできるだけ抑えることです。エネルギーは、体を動かすための燃料ですから、十分量をとらねばなりません。不足すると栄養不良状態になり、抵抗力が弱まり、感染症を起こしやすくなってしまうので、ぜひ気をつけてください。リンは、焼く、蒸す、茹でるなどの調理方法や、水にさらすなどの下処理によって下がります。また、摂取する部位によっても、含有量は変わります。魚なら、少し脂ののったもの、肉ならヒレ肉よりもバラ肉を使うと、リン・カリウムを抑えながら、エネルギーを確保できます。
カリウムも、食事によってコントロールが可能です。カリウムを多く含む食品の摂取に注意することも必要ですが、調理の際、小さく切って、切断面を多くしたり、水にさらす、茹でこぼすなど、調理にひと手間加えることで、摂取量をグンと下げることができます。おいしく楽しく食べられるかどうかは、工夫次第だと言えます。



食事は内容だけでなく、見た目も大切。器の選び方、料理の盛りつけ方や色合いを工夫することで、同じ素材も「おいしそう」に思えるメニューに変身します。食事は体をつくり、支える大切なものですから、調理を工夫して楽しむことを、ぜひ心がけて頂きたいと思います。





生まれつき、手足に障害があるため、将来、どうやって生計を立てるか、小さな頃から考え始めていました。12歳の時に竹細工を覚えた時、これだと思い、近江八幡市にある竹細工工場に勤め始めました。
60歳になるまでの39年間、ここでお世話になり、その後10年間は福祉の作業所で仕事をしています。体に障害があるからこそ、毎日を精一杯生きよう、悔いのない人生を送ろうという思いは、そこで働いている時も、56歳の時に糖尿病を発病してからも、変わることはありません。68歳の時には、糖尿病性腎炎になり、以後は透析を受ける生活ですが、前向きに考えれば、人生はいかようにもなるものだと思っています。確かに透析をはじめた頃は疲れやすくて、テレビを見ることさえしんどいほどでした。ところが、ある時、腎友会の機関誌でマルチ20を知り、飲み始めましたところ、今ではとても元気にすごせています。
最近は、週に二回、デイケアセンターに通い、竹細工を教えさせて頂いています。マルチ20の瓶は、一輪挿しにちょうどいい大きさなので、教室でも利用しています。生徒さんと手を動かしながら、他愛のないおしゃべりをする時間は、ほんとうに楽しくて、あっという間に過ぎます。

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