フットケアについて栄養士からの手紙災害に備えて


 
 
最近、街中のドラッグストアなどでも「フットケア」というコーナーを見かけます。そこでいう「フットケア」とは主に足を美しく魅せたり、疲れをとってリラックスしたりということを期待するものだと思います。もちろん、その中には、水虫やタコ、魚の目、まき爪の予防や手当ても含まれています。今回お話する「フットケア」には、もう一つのねらいがあります。それは、「足病変」を早期に発見して、悪化させないということです。「足病変」とは、糖尿病になったり、透析を行っていたりすると、足の神経障害や血流障害が起きやすくなります。やがては「閉塞性動脈硬化症」という合併症を起こし、足のしびれや歩いた時の痛みなどの症状があらわれたりすることを言います。また、やけどやケガをすると治りにくく、壊疽を起こすこともあります。

足病変を早期に発見するための「フットケア」で一番大切なことは、自分の足をよく見ること。そして、皮膚の色、つや、爪の形など色々な変化に気づきましょう。最低1週間に1度は見るとよいですね。足を見る場合のチェック項目をあげておきますので参考にしてください。


※傷がある場合は、必ず医師に相談してから行ってください。

37℃くらいのぬるめのお湯を準備します。お風呂のように熱めにしてしまうと、足の痛みを感じる場合があります。石鹸でゆびの間までよく洗い、良くすすぎます。あがった後もゆびの間まできれいに拭きましょう。
 

炭酸泉浴は、炭酸ガスに血管を拡張させる作用を利用して、皮膚から炭酸ガスを吸収させて、血管を拡張することで血流を増加させ末梢循環障害に陥った皮膚の血流を改善する効果が期待でき、最近特に注目されています。当クリニックでも実践し良い成果を得ています。一度試されてはいかがですか、気持ちいいですよ・・・


透析中や睡眠時に、足が冷えてしまうことがあると思います。そのような場合にも、電気あんかや電気毛布など加熱器具の使用は避けましょう。いくら低い温度でも、長い時間、加熱器具が直接肌にあたっていることに気づかないでいると、深いやけどを起こします。出来れば、「湯たんぽ」のように、時間とともに温度がさがるものを、足から少し離して使用するとよいでしょう。
血糖値、コレステロール値が高いと足の動脈硬化を早めます。喫煙はもちろんやめましょう。
できる限り早く、医師の診察を受けましょう。安易な考えで、自己流の手当てを行うと危険です。

@ はだしで歩かない。季節や部屋の内外を問わず普段から靴下を履くようにしましょう。
  靴下は足の保護、保温に有効ですが、ただしきつすぎる靴下ははかないこと。
  最近では、通気性もよく靴下に湿気もこもらないような通気性と保温性を高めた靴下も市販されていますので、
  そのような靴下を試してみるのもいかがですか。
A 靴の中に小石やごみが入ってないか確認する。
B 靴選びは慎重に。
ここまでのお話で、「フットケア」の大切さを少しでもわかっていただけたでしょうか?
誰でも、自分の足を他人に見せるのは、恥ずかしさなどの抵抗があると思います。しかし、毎日自分で足を気にして、手入れをしておけば、いざという時にも安心して見ていだだけることでしょう。
  また、今回はお話しできませんでしたが、「足病変」の危険が高い方の中には、視力の悪い方も多いと思います。その場合、自分で爪を切ることは困難でしょう。ですから、やはり他人にも足を見てもらうことは大切です。さあ、勇気を出して他人に足をみてもらいましょう!
参考文献
1) 羽倉稜子 編集 ナースが行う糖尿病フットケア 南江堂
2) 山本成美 著  メディカルフットケアの知識と技術 解決!足の悩み EPIC.



■主食を見直そう

日本の食卓は戦後輸入の拡大による欧米化の影響とともに大きく変化し、お米の消費量の減少は大きな課題となっています。実はお米や小麦粉などの穀物からの摂取エネルギーが、この50年間でなんと30%以上も減少しており、つまり主食を食べる量自体が減っているという訳です。しかしこれは、肉類や油脂類の摂取量が増え、近年問題になっている生活習慣病増加の最大の原因とも言われています。


■食物繊維の供給源「穀物」
ご飯やパン、うどんやパスタなどに代表される主食ですが、透析者の皆様にとっては重要なエネルギー源であり、栄養不良などから起こる感染症を防ぐためにも欠かすことが出来ないものです。また1回に多くの量を摂取する事ができ、意外にも不足しがちな食物繊維の重要な供給源でもある事はご存知でしょうか。さてこの食物繊維、腸を刺激しながらぜん動運動を活発にすることで便秘を予防するだけでなく、糖の吸収をゆるやかにして食後の血糖値の急激な上昇を防いだり、コレステロール値の上昇も抑えることができます。食物繊維の1日の摂取目安量は約20g、うどん1玉 200gで、1.6g 食パン80g(5枚切り1枚)で1.8g、パスタ200gで3gの食物繊維が含まれています。しかし、カリウムやリンが多く含むものもあるので、それらは偏らずに食べられる事をお勧めします。

■今、注目されている「雑穀」
また最近注目を浴びている雑穀(米、麦以外の穀物)ですが数種類の雑穀をプレンドしたものが商品化され、白米に比べてビタミンやミネラルなどが多く食物繊維が多い点で人気があります。白米に少量のブレンドされた雑穀を混ぜて炊いた雑穀ご飯は、よく噛んで食べると、白米にはない甘みやこく、食感で一味違った美味しさが味わえるでしょう。一般に、食は保守的でいったん獲得した嗜好は簡単には変化しないそうです。歴史ある民族、日本人の食嗜好、長年継続されてきたお米文化を大切にしながら、毎食主食はしっかり、主菜、副菜は少々控えに、1品に偏らず、できるだけ少量で多くの品目を心がけながら、日々の食生活を送っていただければと思います


               
 
 
【プロフィール】

吉田 有里(よしだ ゆり)
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管理栄養士
衛生検査技師

 
大学卒業後、大学病院や国立研究所にて、ドクターのアシスタントとして主に腎臓や血液関係の研究に携わる。その後、臨床現場にて生活習慣病や透析を中心に腎移植を含む腎臓病を専門とした栄養指導に従事、その傍ら学会、研究会にて発表も行う。 現在特定非営利活動法人 NSC2000の副理事長として、透析(腎臓病)関係を中心に講演および栄養指導や執筆活動を行っている。
特定非営利活動法人 NSC2000
(管理栄養士のネットワーク)
ホームページ  http://nsc2000.org/


 
               

最近、国内外を問わず地震のニュースが聞かれますが、透析をしていて、災害は本当に心配なもののひとつです。阪神・淡路大震災の時には、通信手段が絶たれたため、連絡や安否確認などができず、たいへん深刻な状況となりました。その後、インターネットや携帯電話の普及が進み、以前より連絡方法も増えてきています。特に、災害があったときの強力な連絡手段として、NTTが行っている「災害用伝言ダイヤル」はたいへん有効な手段ですので、ぜひ覚えておきたいものです。
■災害用伝言ダイヤルは、大規模な災害がおこった時に設置される「声の伝言板」です。
次の手段で操作し、透析施設の状況や家族、親戚、知人などの安否確認に利用できます。

災害がおこったら・・・・・
「あの人は、大丈夫????」
 ・171とダイヤル(ケータイでもOK)
  ・音声ガイダンスが流れますので、それに従って安否を知りたい人の番号をダイヤル。
  ・メッセージを聞きます「無事です。安心して」
災害に遭ったら・・・・・
「みんなに連絡したい!」
 ・171とダイヤル(ケータイでもOK)
  ・ガイダンスに従い、自宅の電話番号をダイヤルします
  ・メッセージをを録音します。・・・・「大丈夫!避難しています」
詳しくはNTTのホームページでご確認ください。

さわやかな季節、「どこか旅行にでも・・・」と誰しも思うもの。
日ごろの透析治療や自己管理のことなどで、つい腰が重くなりがちでは。しかし、旅行は気分転換にもなり、明日への活力につながるものです。ときには思いっきり腰を・・・いや、羽を伸ばして出かけてみませんか。
 いきなり遠くへ、というよりも日帰りや一泊程度の余裕をもったペースで休憩も十分にとれるように計画しましょう。
  旅行の時には、忘れずに身体障害者手帳を携帯しましょう。
鉄道運賃や、有料道路通行料などが割引になることはご存知と思いますが、公共施設や美術館、お寺の拝観料など、手帳の提示で割引があることも多くあります。また主治医や緊急の場合の連絡先なども忘れずにメモしてもっておきましょう。食事は旅の大きな楽しみです。気になるときは、ホテルや旅館でも最近は食事制限のある人にも対応しているところもあり、相談してみるのも良いでしょう。そして、何よりも普段から体調のコントロールを十分にして、楽しい旅行になるようにしたいものですね。